
コンビニ前に置かれたスタンド式灰皿の前で、
俺は呆然と立ち尽くしていた。
ジムでの筋トレが終わった後、
吸い寄せられるような感じでコンビニへ入った。
ブラックコーヒー片手にレジへ。
「タバコの48番」
コーヒーだけ買えばいいものを、
無意識的に、タバコが置かれている棚に目が行き、買ってしまった。
早速、コンビニ前で火をつける。
ホッとする。
…と同時に後悔する。
何やってんだよおい…
なんで吸っちまったんだ…?
なんという意志の弱さ。
何度同じ思いを繰り返せば気が済むんだ…?
「あのバカ上司の顔が浮かんできて… イライラがこみ上げてきて…」
もう一人の俺が言い訳する。
禁煙を決意、
でも我慢ならず失敗、ひどく後悔。
再び「もう吸わない」と決意、
また明くる日に失敗、後悔…
かれこれ半年くらい、こんな状態が続いている。
きっかけは、あるニュースサイトの記事だった。
「シリコンバレーのビジネスエリートは、体調管理が徹底している。
ジムでカラダを鍛え筋肉質なカラダを維持しているのは当たり前。
タバコを吸う人間などほぼ皆無」
この記事を目にしてから、
俺の中で何かが変わった。
俺の中で「人生に対する指針」のようなものが芽生えてきた。
『世界で通用するビジネスパーソンになる』
そのような漠然とした方向性が見えてきた。
グローバル化が進む世の中、
欧米のビジネスエリートに見劣りしないためにも、ショボいカラダを変えたい。
カラダを変えるためにも、
そして、世界で通用する一流の男となるためにも、
タバコなど吸っている場合ではない。
心機一転、決意した。
半年前、俺は肉体改造を、
そして、禁煙を決意した。
実は、
禁煙に関しては、もっと前から考えていた。
まずは、お金のことだ。
かみさんと子供、一家三人を食わしていくのに、わずかな稼ぎでしかない。

1日1箱吸ってるから、月に換算すると約1万5千円。
年間だと18万円…
このまま一生吸い続けたら…
あぁもう計算したくない…
タバコ代以外にも、エチケットのためにお金がかかる。
口臭対策のブレスケア。
服の臭いをとるリセッシュ。
そもそもタバコを吸わなきゃ必要ないものまで買わされるようになる。
で最近、また値上がりしてる。
いずれ1箱1000円に?
そりゃマジキツイ。
カンベンしてくれ。
1000円はとても出せない。
現状でもキリキリ舞いなのに、
また値上がりしようものなら、家計圧迫・火の車だ。
お金の面もヤバいが、
喫煙者としての世間体も気になり始めていた。
喫煙者は、社会的にイメージが悪くなってきている。
周囲もまるで犯罪者を見るような視線だ。
犯罪者、あるいは脱落者。
「まだタバコなんか吸ってんの?」と。
昔はみんな当たり前のように吸っていたのに、
最近は、吸わない連中が増えてきた。
「喫煙者イジメ」も年々深刻化している。
外へ出ても、吸える場所が少ない。
マックも全面禁煙に。
外食チェーンはこの流れに逆らえないのだろう。
営業職という仕事柄、
俺は首都圏いろんな所を電車で移動するのだが、
そのたびに吸える場所を探さなくてはならない。
喫煙所はどこだ?
と、ウロウロ探している自分も情けなく感じる。
そういえばこの間、職場内で大幅な改装があり、喫煙スペースが劇的に小さくなってしまった。
4畳半…いや3畳くらいの小部屋。
そんな狭いところで、数人が寄り添ってタバコを吸っている…。
虫けら同然の扱いではないか。
こんなところにも、喫煙者としての社会的ステータスが見え隠れしている。
俺たちゃ、落ちこぼれなんかな〜って。
非喫煙者であるカミさんからも、
前々から「タバコをやめてもらいたい」といわれていた。
口臭についても嫌がっているようだった。
職場でも、人と話していると相手のリアクションで察しが付く。
「俺の息、臭いんかな?」と。
口臭に加え、服についた臭いもなかなかとれない。
全身から悪臭を漂わせているのかと思うと、
人と会うのも億劫になる。
そりゃもちろん、病気についても恐れていた。
「体によくないから吸わないほうがいいよ」
「百害あって一利なし」
うるせーよ。

タバコによる害なんて百も承知。
肺がん、肺気腫、咽頭がん、
食道がん、糖尿病、心筋梗塞、アルツハイマー…
煙を毎日吸いこんでるんだから、病気になりやすいのは当然。
そんなことは、吸っている本人が一番よくわかっている。
実際、35歳になって、
やけに体力の衰えを感じる。
最近も2,3週間、変な咳が続いている。
タバコを20年近く吸い続けたツケが出てきたのだろうか?
夜、ぐっすり眠れない。
朝起きるのも辛い。
お金、世間体、体調…
何年か前からいろいろ考えて、
そろそろタバコもやめよううかなぁ…と悩んでいた。
でも、なんとなくズルズルと、禁煙に踏み出せず…
そんな中で、禁煙へ踏み出すきっかけとなったのが、
先ほどのニュースサイトの記事だった。
早速ジムへ入会。
「もう吸うもんか!」と禁煙開始。
家族にも禁煙宣言をした。
だから、家ではもう吸えない。
あれから半年、
状況は変わっていない。
ジムには忙しい中でも、
週2、3日は通っているが、ショボいカラダは以前のまま。
タバコは…
こうしてコンビニの前とか外で吸っている。
隠れるように吸っている。
ショボいカラダが変わらないのは、
タバコ吸っているせいもあるだろう。
筋肉つけていきたいのは山々だが、
先にタバコをどうにかしたい。
でもいかんせん、やめられない。
やめるにやめられない。
なぜ、こうも懲りずに吸ってしまうのか?
自分でもわからない。
お金の問題、
周囲の視線、
忍び寄る病気のリスク、
頭ではわかりすぎるほどわかっている。
タバコ買うカネで何かもっと良いもの買える…
タバコなんか吸わなければ、身も心もクリーンになって世間体も良くなる…
当然、病気の心配も減る。

タバコから自由になりたい、
ニコチンから解放されたい、
だが…
体が欲してたまらず…
つい間が持たず…
人間関係でイライラして…
ストレスが重なって…
吸いたい衝動に駆られてしまう。
「1本くらいならいいんじゃないか?」と。
でも、1本で終わった例がない。
1本が1箱に、そしてエンドレスに。
どうしても吸いたい衝動には勝てない。
無性に吸いたくなり、何を置いてもコンビニへ買いに走ってしまう。
ストレスがたまったときは、
「落ち込むくらいなら吸ってしまえ」と、もう一人の自分が囁く。
最高で3日だった。
禁煙最長記録は3日。
3日後に吸うタバコが不味いこと。
実に不味い。
なのに、なんでまた吸うのだろうか?
自分の行為が全然理解できない。
なけなしのカネはたいて、
体に毒入れて、
一瞬だけホッとして、ひどく後悔。
罪悪感にさいなまれる。
この半年間、この繰り返し。
もう自己嫌悪のかたまりだ。
ほとほとイヤになる。
意志が弱い自分を許せない。
すぐに心が折れる自分、
軸がフニャフニャで、ブれてばかりの自分が情けなくて情けなくて…
不甲斐なくて泣けてくる。
なんて弱いんだろう。
なんて愚かなんだろう。
タバコを我慢しているときの辛さ、
イライラ、もどかしさが沸き起こってくるとき、
禁断症状を思い返すと、逃げ腰にもなってくる。
また失敗するんじゃないか?
どうやってあの辛さと向き合えばいいのだろうか?
もう俺には、あの3日間を乗り越えていく自信がないようにも思えてくる。
無理なのだろうか?
俺に禁煙は無理なのだろうか?
一生喫煙者として過ごすしかないのだろうか?…
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このページを開いているあなたも、
タバコに関して同じような悩みを抱えているかもしれません。
頭では十分すぎるほどわかっているんですよね。
「タバコをやめることができれば、どんなにラクになるだろうか?」と。
お金を使わなくて済む。
浮いたお金で美味しいもの食べたり、旅行へ行ったり…
有意義なことに使える。
社会的なステータスも上がる。
「まともな人」として見てもらえる。
病気の心配からも解放される。
愛する家族にも迷惑をかけなくて済む。
そのように思いながら、日々生活していることかと思います。
世の中に嫌煙家と呼ばれる人がいますよね。
タバコをひどく毛嫌いしている人たち。
副流煙に超敏感、
服にタバコの臭いがつくのも断じて許さない、
「この世からタバコを抹殺したい」みたいなテンションの。
実は、嫌煙家に負けないほど「タバコを抹殺したい」と思っている人、
それが、あなたのような人、
「タバコをやめたくてもやめられない人」だったりするんですよね。
だって、「タバコを排除したい」という思いが誰よりも強いじゃないですか。
他ならぬあなた自身が、
一番の嫌煙家だったりするわけです。
であるにもかかわらず、
「無性に吸いたくなる」という、不条理な事態に陥っている。
特にイライラしたとき。
仕事や人間関係でストレスがたまったときは、吸いたい衝動が強くなりますよね。
無意識的にタバコに手が伸びる。
で、吸ってしまって、とんでもなく後悔する。
意志の弱さにあきれ果ててしまう。
「なんでこうも続かないのか?」
と、自分で自分を操っているのがイヤになっている状態だと思います。
また、あまりにも失敗を繰り返すものだから、
禁煙すること自体に恐れを抱いているかもしれません。
よく「禁煙で辛いのは3日間」と言われますよね。
でも、あなたにしてみれば、
「もどかしくてどうにもならないあの3日間を、どう乗り切っていけばいいのだろうか?」となるでしょう。
それに、3日間といったって、
「その先に明るい兆しが見えるのか?」
といった先行き不透明感もあるのではないかと思われます。
たとえ禁煙できたとしても、
この先ずっと息が詰まるような苦しい状態で過ごすのではないか…とさえ感じてしまう。
「だったらいっそ、喫煙者のままでいいのかな?」
と、投げやりになりそうになる気持ち。
「いや、一度しかない人生、タバコに振り回されたくない。
望み通りの充実した人生にしたいんだ」
という現状を打破したい気持ち。
あなたの中では今、
2つの相反する気持ちが同居しているのではないかと思われます。

「意志のフニャフニャな自分がほとほとイヤになる」
「弱い自分が情けなくなる」
あなたがそのように感じてしまうのも無理はありません。
自己嫌悪に陥ってしまうのも無理はありません。
というのも、
日本の常識で「タバコは嗜好品」という見方がありますよね。
嗜好品だから、吸うも吸わないもその人の自由。
「喫煙=個人の自由意思によるもの」とされています。
JTの見解も、同じような感じです。
タバコ(ニコチン)を、酒(アルコール)、コーヒー(カフェイン)と同列に扱っています。
さらに「ニコチンの依存性は弱い」とみなしています。
世間の常識、JTの見解からすると、
タバコもポテトチップスも似たようなもの。
タバコをやめられないのは、ポテトチップスをやめられないのと同じ。
だからあなたは「タバコくらいやめることもできないのか…」とひどく落胆してしまうのです。
しかし、実際のところは違います。
意志が強い・弱いという次元の話ではないんです。
「タバコを吸わずにいられなくなる」というのはすなわち、ニコチン依存症。
ニコチン依存症になれば、あなたの“意志とは関係なく”ニコチンを欲しがるようになります。
意志とは関係なく、です。
ニコチンの中毒性はそれほどまでに強力。
タバコをやめたくても、意志の力ではどうにもならなくなってしまいます。
欧米のタバコ産業の内情が暴露された書籍『悪魔のマーケティング』の中で、「タバコ産業が認めるべき事実」として以下のようなことが書かれています。
「ニコチンは麻薬の一種で、タバコはニコチンを体に注入するための“注射器”です。
ニコチンには肉体的にも精神的にも依存性があり、ヘロインやコカインといった麻薬とその作用が似通っています。これはショッピングやチョコレートやインターネットにおぼれてしまうのとではわけが違います」
ASH(Action on Smoking and Health)編
『悪魔のマーケティング』日経BP社
「注射器」という言葉にビクッとしたかもしれませんが、ニコチンが麻薬であることは確かです。
「タバコがやめられない」のは、
「ポテトチップスがやめられない」どころの話ではないんです。
また、精神科医の和田秀樹さんも次のように語っています。
「依存症について、わたしが最も大きな誤解だと感じることは、依存症に片足を突っ込んでいる人も、周囲の人間も、意志が強ければ『やめられる』『治る』だろうと思っていることです。
すべての依存症について言えることですが、依存症というのは、これまで持っていた意志が壊される病気なのです」
和田秀樹・岡本卓共著『依存症の科学』化学同人

よって、あなたの現状「やめたくてもやめられない」状態は、「人間として当たり前」であると言えます。
なって当然、そうならないほうがおかしい。
「無性に吸いたくなる」…生理現象としてそうなるもの。
たとえば、タマネギの皮を剥いて数分間見ていたら涙が出てきますよね。
涙が出てきて当たり前、ですよね。
人間の生理現象として当たり前。
「なんで涙が出てくるんだよ…」とは思わないはずです。
タマネギを切りながら自己嫌悪に陥ることはないはずです。
意志の強さで、涙を抑えられるものでもない。
どんなにガマン強い人でも、涙は抑えられないものです。
それと同じです。
「どうしても吸いたくなる」のも同じです。
吸いたくなる衝動は、意志の強さで対処できるものではないんです。
「やめるにやめられない」のは当たり前。
禁煙するに当たっては、最初にこの事実を受け入れる必要があります。
冒頭でも伝えたように、私自身は元来、非喫煙者です。
プロレスラーだった私は「悪役のパフォーマンスとしてタバコをふかしながら入場する」といったことを一時期行っていました。しかし、プライベートで喫煙者だった時期はありません。
だから今回、少しでもあなたの気持ちを理解しようとし、「喫煙者になろう」と努めました。
私はあえて、「喫煙者と同じ生活をしよう」としました。
コンビニでタバコを買い、
店の前に置かれたスタンド式灰皿の前で吸い、
駅周辺の喫煙スペースで、数人の喫煙者に混じって吸い…
執筆作業の合間にも、1時間に1回「区切り」として吸い、
カバンには常にタバコとライターを携帯し、
タスポを作って自販機で買い、
ファミレスで「おタバコ吸われますか?」と聞かれ、
「はい、吸います」と答えて、喫煙スペースで食事し…
なるべくあなたと同じ生活をしようと心がけました。
心がけましたが、
どうしても、煙を肺の奥まで吸い込むことができなかったんです。
中途半端に「ふかす」くらいしかできなかった…
「チキンだな〜」と思われるかもしれません。
確かにチキンな面もあるかもしれませんが…
それはやはり、怖かったからです。
「やめるにやめられなくなる」ことがわかっていたからです。
「意志が壊される」と知っていたからです。

このように、「意志が弱いから禁煙できないんだ」と嘆くのは検討違いなんです。
「意志を強く持つぞ!」
「吸いたくなったらガマンするしかない!」
と自ら気合いを入れても、ほとんどの人が失敗するものです。
意志力に頼る、ガマンで禁煙しようとする。
それは、ビルのフロアで2階に行きたいとき、
2階から下ってくるエスカレーターに足を踏み入れるようなものです。
当然、なかなか進んでいけないですよね。
エスカレーターの流れと逆に進もうとしているわけですから。
ガマンして禁煙するのは、これと同じことをしているのです。
エスカレーターの流れに逆らおうとしている。
生理現象に逆らおうとしている。
なので、ここは発想の転換が必要になってきます。
発想の転換。
冒頭で言いましたよね。
禁煙する上での前提条件。
今まであなたは、
「吸わないようにする」としていました。
今後は禁煙の目的を次のように変えることです。
「吸わなくても平気でいられるようにする」
つまり、意志の力でなんとかしようとしないこと。
ガマンを頼りに禁煙しないこと。
あなたの目的は、「タバコを必要ないものとして認識すること」です。
非喫煙者は、タバコがなくても平気でいられますよね。
ガマンして「吸わないようにしている」わけではないですよね。
吸わなくても平気でいられるようにする。
この状態が禁煙の最終目標です。
先ほどのエスカレーターの例えでいえば、
「吸わないようにする」→下りのエスカレーター
「吸わなくても平気でいられるようにする」→上りのエスカレーター
1階が喫煙者フロア、
2階が非喫煙者フロア。
2階にたどり着くためには、上りのエスカレーターに足を踏み入れればいい。
然るべき方向に足を踏み出せば、うまくいくのです。

まだ「なるほど〜!」とは思わないでしょう。
「平気になるまでは、ガマンが必要だろ」
「何が『然るべき方向』だ」
「そんなうまい具合にいくわけねえだろ」
私の話もまだ、軽く受け流している状態かもしれません。
では、もう少し掘り下げていきます。
「吸わなくても平気でいられるようにする」
そのためにはどうすればいいのか?
禁煙の然るべき目的に向かって、
上りのエスカレーターに足を踏み入れるためには、具体的に何をどうすればいいのか?
具体的なアクションは、3つのステップから成り立ちます。
最初にも伝えましたが、以下の通りとなります。

1、タバコの本質を知る
2、感情のコントロール法を知り実践する
3、渇望感の対処法を知り実践する
1、タバコの本質を知る
タバコの本質とは、「タバコの正体」と言い換えることもできます。
正体… つまるところ、
あなたが認識しているタバコというものは、「化けの皮を被った状態」なんです。
先ほど説明した、
「タバコは嗜好品」
「タバコは個人の自由意思で吸うもの」
これらも化けの皮です。
繰り返しますが、タバコは依存性の強い麻薬です。
そこに、自由意思というものは介在しません。
他に、タバコを吸う動機・心理面でも「化けの皮」は存在します。
たとえば、「タバコを吸うと落ち着く」と感じますよね。
「落ち着く」というのは幻想。
思い込みですに過ぎません。
「タバコを吸うと落ち着く」と感じるのは、
単に「ニコチン切れが解消された」だけです。
喫煙者は、血中ニコチン濃度を一定に保たないと落ち着かなくなります。
そのために、定期的にタバコを吸い(ニコチンを補給し)、その度ごとに「落ち着いた〜」と感じているだけ。
多くの人は、このような喫煙の仕組みを正しく理解せず、なんとなく吸っています。
実生活のストレスを和らげてくれる、
仕事の集中力アップにも欠かせない、
と、信じ込まされて吸っている人も大勢います。
このファーストステップは何気に重要。
あなたのニコチン依存度が低ければ、
タバコの本質を知るだけでも、スムーズに禁煙できるでしょう。
2、感情のコントロール法を知り実践する
ステップ1は、「タバコを論理的に理解すること」でした。
ステップ2は、「禁煙における感情面についての理解」です。
感情面の理解で、最大のポイントとなるのが「不安の対処」。
多くの人は、禁煙を始めようとすると、
「なぜか不安になる」ものです。
お金の問題、世間体、病気のリスク…
禁煙できる理由は十分そろっている、でも不安になる。
ステップ1をしっかり学んだとしても、です。
タバコの本質をちゃんと理解したとしても、不安になることがあります。
「俺の人生、タバコなしでやっていけるのか?」
「タバコがなくなると、幸せが奪われるような感じがする」
このような喪失感、虚しさを感じてしまうのも不思議ではありません。
なぜか不安になる…
この「なぜか」という部分を知ることが大事です。
得体の知れない不安の核心に迫ることで、
一歩二歩と前へ進んでいけるようになります。
3、渇望感の対処法を知り実践する
1、2のステップは、言わば禁煙における土台作りです。
そして、このステップ3は、土台の上にあるもの。
ですので、いきなりステップ3から取り組み始めても、土台が崩れます。
禁煙はうまくいきません。
タバコの論理的な面、
禁煙における感情的な面、
それらをしっかり把握し、始動する。
上りのエスカレーターに足を踏み入れる。
すると、タバコのない生活にもだんだんと慣れてきます。
喫煙者フロアが遠のいていくのを感じとれます。
「もう大丈夫だ、俺も非喫煙者の仲間入りだ」
2週間、3週間たち安心しているところへ、予想だにしない渇望感が襲ってくることがあります。
タバコの心理的依存はやっかいなものです。
頭では「もう大丈夫、吸うことはない」とわかっていても、
想定外に吸いたくなってくる場合があるのです。
無性に吸いたく衝動が出てくる。
この渇望感を、世界的ベストセラー『禁煙セラピー』の著者、アレン・カーは、「心理的トリガー機能」と呼んでいます。
また、禁煙研究の権威として名高い『リセット禁煙』の磯村毅さんは、「依存性によるフラッシュバック現象」と呼んでいます。
食後、仕事が終わった後、飲み会…
タバコは、あなたにとって長年、「癒しの時間」とセットで存在していましたよね。
イライラしたときも言ってみれば、
「癒しを求めてタバコに手が伸びていた」となるでしょう。
このような「癒されたいタイミング」で渇望感は湧いてきやすいものです。
心理的トリガーが働くもの、
フラッシュバックが起こるもの、
無性に吸いたくなるケースが出てくるものです。
「渇望感をどのように対処するか」は、禁煙の明暗を左右します。
対処法を具体的に知っていれば、その場で流されることもなくなります。
雰囲気にのみこまれることもなくなります。
以上が3ステップの概要。
1、タバコの本質を知る
2、感情のコントロール法を知り実践する
3、渇望感の対処法を知り実践する
この3ステップを順序立てて踏んでいくことで、
やがてあなたもタバコから解放されていきます。
上りのエスカレーターに乗り、
然るべき目的地「非喫煙者フロア」にたどり着くことができる。
「吸わなくても平気でいられる」状態になっていくのです。

私は普段、肉体改造の指導者として、関連するメルマガやブログを書いています。
そのメルマガやブログでも以前、
「タバコの正体」について触れたことがありました。
ステップ1の内容ですね。
「タバコを吸ってもストレス解消にはならない。
タバコを吸って解消されるストレスは、ニコチン切れのストレスだけ」
といったような内容です。
こうした「タバコの本質」を知るために読むとお勧めなのが、以下のような書籍です。
アレン・カー著『読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー』KKロングセラーズ
磯村毅著『「吸いたい気持ち」がスッキリ消えるリセット禁煙』PHP文庫
クリスティーナ・イヴィングス著『喫煙の心理学』産調出版
六本木タツヤ著『禁煙しないでタバコをやめる!ニコアン・セラピー』ダイナミックセラーズ出版
私も以上のような本から、多大な学びを得ました。
今までタバコについていかに無知だったかを思い知らされました。
ただ、以上のような本から学んでも、
タバコの本質を理解しても、「やめられない」人もいます。
「タバコを吸っていることがいかに馬鹿らしいか」
と、自分でもわかっているのにまた吸ってしまう人もいます。
そこで私は、
「その時点の感情コントロールにもっと踏み込んでいけば、禁煙もスムーズにいくのでは?」
と考えました。先ほどの「ステップ2」の内容ですね。
そこに、テクニック的な内容を含んだステップ3を加え、体系化させる。
体系化させ、一つの教材にする。
そうすれば読みやすくなるし、多くの人がタバコから解放される手助けになるのでは?
と考えました。
そのような経緯で出来上がった教材が『マインドシフト禁煙法』です。
では、教材の概要を説明していきましょう。
『マインドシフト禁煙法』は、PDFファイル160ページからなり、5章で構成されています。
■第1章;非喫煙者のフィールドに立つ
「視点の切り替え」
口を酸っぱくして伝えているように、これが何よりも大事です。
×吸わないようにする。
○吸わなくても平気でいられるようにする。
1章から3章の内容も、
すべてはこの定義をわからせるために書かれているようなものです。
たとえば、今の高校生が進路を決定する際、次のように考えていたとします。
「良い大学入って一流企業に就職すれば、そこでもう一生安泰だ」
今の時代、これからの時代、そんな考えは幻想ですよね。
視点を切り替えろ、って話です。
それと同じ。
就職を考えている若者同様、
あなたも方向性を間違っていたら、どんなに頑張ってもうまくはいかないんです。
なぜ、そこまで視点の切り替えが重要なのか?
を、第1章で詳しく説明していきます。
■第2章;タバコの正体
視点を切り替える際、知るべきことが「タバコの正体」です。
先ほども伝えましたね。
嗜好品という誤解。
「タバコを吸えば落ち着く」という思い込み。
2章では、そのような今まで当たり前だった感覚を180度変えていってもらいます。
「タバコを吸うと集中力がアップする」というのも、当然思い込み。
これに関しては、折れ線グラフを用いて勘違いであることを証明していきます。
また、タバコの正体を知る上で欠かせない知識が、「ニコチンの脳波へ及ぼす影響」です。
ニコチンの具体的な作用を知っているのと知っていないのとでは、大きな違いが生まれるでしょう。
「これを知らずに禁煙している人はかわいそう」と言わしめてみせます。
この第2章を読みこんで、正しく理解すれば、
今までとはタバコが大分違ったモノに見えてくるでしょう。
きっと「タバコに騙されていたのか…」と痛感するはずです。
■第3章;あなたは「吸わされている」
1章から2章は、教材のベース、禁煙のベースとなる知識でした。
その知識を補強するのが、この第3章。
「タバコに騙されていた」
2章では、喫煙の仕組みに関する騙され感、
そしてこの3章では、「社会全体に騙されていた」感覚を覚えるでしょう。
タバコ会社の策略を知ることも、強力な「知識の補強」となります。
メンソールタバコ、軽いタバコ…
コンビニの棚にギッシリ置かれているタバコに対し、幻滅すること請け合いです。
JTとメディアの関係なんかも知っておくと、ベースが補強されます。
「我々は、商品を買いたいから買うのではない。
買うように仕向けられているのだ」
ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロムが残した言葉です。
タバコに関しては、この言葉がまさしく当てはまります。吸うように仕向けられているんです。
3章で、その意味合いを深く理解してください。
■第4章:それでも吸いたいのはなぜ?
この4章からが、先ほどの「ステップ2」に当たります。
「頭で理解しているのに、なぜ吸いたくなるのか?」
「タバコに騙されているとわかっていながら、なぜ禁煙しようとすると不安になるのか?」
得体のしれない感情をどのように対処していけばいいのか?という話です。
本人も理解できない感情・不安…
不安について探ることも、この教材のポイントです。
なぜ不安になるのか?
それは、「ニコチンが脳へ及ぼす作用」に起因しています。
たとえあなたが今、自己嫌悪の塊で、
自分不信に陥っていたとしても、4章の内容を知れば自信が復活するでしょう。
再度、禁煙に踏み切る勇気も湧いてくるはずです。
■第5章:ニコチン依存脱出法
4章までは「頭で理解すること」が中心でした。
5章からは、ようやく実践的な内容に移っていきます。
4章の「不安の正体」も、ただ知るだけでは意味がありません。
ただ知るだけでなく、いかに行動して処理していくか。
アクションを伴わなければ、知識が意味をなしません。
実践して、不安に対処していく、
そのプロセスで、しっかりと自分に向き合うことになります。
自分自身を知るようになります。
そこであなたは気づくでしょう。
「禁煙とは、単にタバコをやめることではない」と。
この気づきで、目的にグングン近づいていきます。
さらに、あなたを一回りも二回りも人間的に成長させてくれるはずです。
また5章では、渇望感の対処についても詳しく説明していきます。
「ステップ3」の内容ですね。
渇望感を対処する9つの方法、
対処する上で、行ってはいけない方法、
渇望感そのものを減らす対策、
といったことまで、事細かに書かせていただきました。
世間一般では定番のお菓子、パイポといった代用品がなぜNGなのか?
最大の難関と言われる酒の席をいかに乗り越えていくか?
また、禁煙でつきまとう心配「太る」についても解説。
「禁煙→太る」という一般論、実はあなたの志を考えると…
つまり肉体改造を考えると好都合なんです。

以上が教材の概要です。
ページの割合からいって、
基礎となる部分、ベースとなる知識が3分の2くらいを占めています。
禁煙のベースとは、何度も伝えている「発想の転換」。
×吸わないようにする。
○吸わなくても平気でいられるようにする。
「もうこのページで十分わかったよ」
と感じられたかもしれません。
でも、とてもこのページでは伝えきれないことがたくさんあるんです。
それくらい、土台を固めるのが重要なんです。
土台がの上にあるのがテクニック。
たとえば、5章で「数を数える」という渇望感を対処するためのテクニックがあります。
それだけ聞くと「なんじゃそれ」と鼻で笑うでしょう。
でも、土台を築いた上で行うと、全然違ったものに感じられるはずです。
数々のテクニックも、土台があるからこそ生きてくるんです。
禁煙する人の多くは、
視点を変えず、ただガマンするか、
「深呼吸をする」といったテクニックだけで解決させようとしています。
だからうまくいかないんです。
ニコチンガムやニコチンパッチもある意味、テクニックです。
土台がしっかりしていれば、それら禁煙補助薬も効果を発揮します。
「発想の転換」という作業をしないから、多くの人はニコチンパッチもチャンピックスも使いこなせないのです。
筋トレでいえば、スクワットやベンチプレスといったベースとなるエクササイズをやらないで、腕だけを鍛えるカールしかやっていない状態。
筋トレ同様、禁煙もベース作り・土台作りが大事なんです。
そのあたりを踏まえた上で、
教材の中身を覗いていきましょう。
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